最近では、「セックスワーカー」「セックスボランティア」が小説や映画の題材として取り上げられて、話題になっています。
あなたもセックスワーカに関して以下のような疑問を抱いた経験ありませんか?
セックスワーカーって、何をする人なの?
セックスボランティアって、どんなボランティア?
障碍者の性とどう向き合ったらいいの?
人間の3大欲求は、一般的に「食欲」「睡眠欲」そして「性欲」だといわれています。これは、障碍者でも当然当てはまる欲求です。
しかし、これまでは障碍者の性欲に関してタブー視されてきました。
そこで、当ページでは、セックスワーカーによりセックスボランティアの現状を調査してみました。セックスボランティアについて関心があるという方はぜひ、参考にしてください。
セックスワーカーとは
セックスワーカーは読んで字のごとく「性に関する仕事をする人」のことです。一般的に、すぐに思い浮かぶのが風俗で働く人のことをイメージします。
しかし、それは狭義のとらえ方で、医学的、福祉的な立場で、性を仕事にしている人もいます。
そのなかで、あまり知られていなのがセックスワーカーによるセックスボランティアです。
セックスワーカーは、重度の身体・知的障碍者への性行為を「介助」するのが主な仕事となります。
具体的には、
- 自慰行為の介助
- 風俗店への予約・同行
- 性病は避妊といった性に関する指導
といった仕事内容になります。
セックスボランティアというと、実際にセックスという行為を想像する人も多いのですが、セックス行為は含まれておらず、あくまでも「性処理」に関する介助ということが原則になっています。
障害者の性の処理事情
重度の身体・知的障碍者にとって、性の問題は深刻です。障碍者だから「性欲はない」と考えているとしたらそれは大間違いです。
人間の基本的な欲求の中には、障害を持つ、持たないに関係なく性欲があるからです。
しかし、重度の身体・知的障碍者にとって、自分で性欲を処理することは非常に困難なケースがあります。
セックスをする機会が極端に少ないことに加えて、体が思うように動かせないなどのたくさんのハードルが待ち構えています。健常者のように、自分の好きなタイミングで性欲を処理できないということは、大きなストレスになり、精神的にも不安定になります。
これまでは、こうした障碍者の性に対して、タブー視されてきました。性的な問題は、密かに内部処理され、隠されてきた歴史があります。
しかし、今は障碍者の性に関して、タブー視することなく、公にすることで障碍者の精神的バックアップをしようとする動きが活発化してきています。その活動の一環がセックスワーカーによるセックスボランティアです。
セックスワーカーによるセックスボランティア実態
オランダでは、セックスワーカーという職業が公的に認められています。自分の意思でこの職業を選択し「自営業者」として税金を納め、医療保険にも加入しています。
さらに、障碍者がこのセックスワーカーによるサービスを受ける場合には、医療保険の適用を認めている自治体さえ存在します。
このように性に対して先進的なオランダに比べると、日本でのセックスワーカーによるセックスボランティアは、まだまだ後進国といっ良いでしょう。
日本でのセックスボランティアでは「ホワイトハンズ」という一般社団法人が知られています。
ホワイトハンズは、障碍者に対して、単なる性欲処理を行うだけでなく、自尊心を守るためのケア、そして生活の質の向上を目指す団体です。
良心的なサービス料で利用できるため、障碍者年金で生活している人にとっては、非常にありがたい団体といえます。
しかし、セックスワーカーによるセックスボランティアは、ボランティアといっても、無料ではなく有料での利用の方が圧倒的に多く、職業として所得を得ています。
そのため、現行の日本の法律では、「介護」と「風俗」の線引きができておらず、非常にあいまいになっています。
セックスボランティアと売春の違い
日本でもセックスボランティアをしている人は、まだまだ少ないという実態があります。
職業として、セックスボランティアをしている人は、福祉関係の会社に勤めている人や、看護師さんなどがほとんどです。
しかし、障碍者への性サービスは、確実にニーズがあります。そのため、専用サイトを通じて、個人的にセックスボランティアと称する売春まがいの行為をする人も横行しているということも事実です。
売春という違法行為ではないけれど、一部の風俗店が「障碍者専門」のサービスを提供しているところもあります。
どの程度までの行為が行われているかといった実態は不明ですが、風俗店の女性に介護資格を取らせて営業しているお店もあるそうです。
現在の日本の法律では、ボランティアといっても、金銭のやり取りがあれば、届け出のない場合は、風営法によって売春と売春あっせんで摘発されてしまう可能性もあるなか、こうした問題に真摯に向き合う姿勢が行政にも必要だといえるのではないでしょうか。
セックスボランティアが抱える3つの問題点
性や性欲の問題は、障碍者も健常者も等しく抱える欲求であること。これは間違いのないことです。
しかし、性に関しては「介護」という言葉が当てはまるのかどうか。もっと障碍者に寄り添った性サービスが行われてもいいのではないかという考えが広まりつつあります。
このようななか、セックスボランティアが抱える3つの問題点について具体的に紹介していきます。
一般の認識と大きな差がある
性欲の処理というデリケートな悩みに応えられるのが、障碍者向けの風俗店です。女性が派遣されるため、現状では風俗営業の許可が必要です。
まだまだ社会的認知が浸透していない現状では、一般との認識に大きな差があります。
ヘルパーとして働く人は、あくまでも「介護の一環」といて捕らえている人が多く、この点をどう埋めていくのかによって、セックスボランティアの育成の大きな壁となっています。
セックスボランティアの数と精神面
セックスボランティアというのは、倫理観や無償の愛といった奥深い社会問題を内包しています。
障碍者に限定して「性欲処理」求められた場合、日常的に高いレベルで受け入れられる人がどれだけいるのか。一般的な性介護への認識の低さだからこその問題を抱えています。
障碍者の精神面を傷つける恐れ
セックスワーカーによってセックスボランティアを受ける側、つまり障碍者は、感謝するかもしれません。
しかし、このデリケートな行為が当事者間にある心の関係、精神面で逆に傷つけてしまう可能性もあるという課題が残されています。
射精するだけが「性欲」ではなく、手をつないだり、抱き合ったり、肌と肌を触れ合うことで、精神的な信頼関係を築くことこそ、健康な性ではないかといった心の葛藤も起こります。
ボランティアにパートナーができたため、介助を止めたという場合もあり、利用者が精神的に傷つくというケースもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
障碍者の性については、今までタブー視されてきました。 それが徐々にオープンにされてきたことによって、セックスボランティアの現状も見えてきました。
今後、官民を巻き込んだ検討を積極的に行う必要があるのではないでしょうか。
このページでは、以下の通り、セックスボランティアの実態について考えてきました。
- セックスワーカーとは
- 障碍者の性の処理事情
- セックスワーカーによるセックスボランティア実態
- セックスボランティアと売春の違い
- セックスボランティアが抱える3つの問題点
障害者の性いうデリケートな問題は、宗教や文化にも大きくかかわってくる問題ですから、安易に他の国をマネすることはできません。
しかし、今までタブー視されてきたものをオープンにして、健常者も含めて考えてみるという方向に進むことは、一歩も二歩も前進したことになるのではないでしょうか。
セックスワーカーの職業としての位置づけをはじめ、今後の問題は山積みですが、多くの人がまず「現状を正確に知る」ことが大切です。