結婚して赤ちゃんが授かることを毎日のように願っているのに、なかなかできない。その原因は、もしかすると黄体機能不全かもしれません…。
不妊の原因になってしまう黄体機能不全ご存知でしょうか?
排卵期の基礎体温が低くありませんか?
生理前の症状がそれほどでもないと感じていませんか?
赤ちゃんができない体になりうる病気についてはしっかりと理解しておきましょう。
不妊の原因のひとつでもある黄体機能不全は、原因を特定し、しっかりとした改善方法、または医師の指導のもと治療すれば正常な状態に戻りやすい疾患です。
当ページでは、黄体機能不全を改善する10の方法について詳しくご紹介しています。
なかなか子宝に恵まれないという女性や、生理不順や身体のリズムの乱れに心当たりのある女性は、ぜひ、参考にしてください。
黄体機能とは
黄体ホルモンというのは女性ホルモンのなかのエストロゲンと両輪になっているホルモンです。
1ヶ月の間、女性はこの黄体ホルモンとエストロゲンが優位になったり、劣勢になったりすることで、身体に変化をもたらします。
エストロゲンは、女性らしさを際立たせるホルモンで、美のホルモンとも呼ばれています。このエストロゲンが優位の間は、肌がツヤツヤで、女子力マックスになります。
ところが排卵時期になると、黄体ホルモンが優勢になって、身体がほてったり、イライラしたり、肌荒れを起こしたり、なにかとやっかいです。しかし、これは赤ちゃんを子宮が迎い入れるための準備なのです。自分の体を糧にして赤ちゃんを育てるための訓練といってもいいでしょう
卵巣の中には卵胞という卵子の入っている袋があり、これが毎月ひとつ月経が始まるときに成熟して排卵します。
排卵が終わると、卵を育てるためのベッドが用意されます。それが黄体ホルモンの主な働きです。
黄体ホルモンは、子宮内膜を厚くし、基礎体温を挙げ、乳腺を発達させるなどの妊娠の準備をする働きを持ちます。
そのため、黄体ホルモン機能が正常に働かないと、妊娠・出産に対してさまざまなトラブルを起こすことになります。
黄体機能不全の原因はいろいろあります。黄体ホルモンの分泌を促す脳下垂体の働きに異常があったり、黄体ホルモンは正常に分泌されていても、その指令を受ける子宮内膜が適正に反応しなかったり、卵胞そのものが成熟しなくなる甲状腺異常などの疾病を持っている場合です。そのほかにも過度のダイエットや栄養不足などの生活習慣にも原因があります。
黄体機能不全を放置するとどうなるの?
黄体機能不全は、命に関わるような深刻な病気ではありませんので、黄体機能不全自体は放置していても、通常通りの生活を送ることができます。
そのため、妊娠・出産を考えていない人にとっては、放置していてもいいと考えるかもしれません。
しかし、更年が早まったり、更年期障害がひどくなったりするなどトラブルも発生するので、できるだけ正常に戻しておきましょう。
流産しやすくなる
排卵日がぴったり合って妊娠したとしても、赤ちゃんの卵を育てるためのベッドがしっかりしていなければ、一緒に流れてしまう…。いわゆる流産です。
黄体機能は子宮内の環境を赤ちゃんが育つために最適な環境に整えます。それは、温度であったり、栄養の補給であったり、着床力などです。その黄体機能が衰えてしまうと、子宮内膜が維持できずに流産の危険性が高まります。
不正出血
黄体ホルモンが十分に分泌されないことから、生理前に少量の不正出血が見られることがあります。これは黄体ホルモンが正常に分泌されないため、形成中の子宮内膜の一部がはがれ落ちてしまうからです。
更年期障害がひどくなる
ホルモンのバランスが崩れるため、月経週間や月経日数といったことも不規則になります。こうした生理不順は、更年期を早め、さらにそれに伴う更年期障害が、普通の人よりもひどくなる危険性があります。
更年期障害は、肉体だけでなく、精神的にも大きな影響を及ぼします。鬱病などを発症するケースも多いので、早めの治療が大切です。
黄体機能不全を改善する10の方法
黄体機能不全は、実際の生活ではなかなか発見できず、不妊外来などで初めて知ったという人がほとんどです。
黄体機能不全は、妊娠を望む人にとっては、急務の治療になりますが、そうでない人は、生活習慣を変えることで機能を回復することができます。
それでは、黄体機能不全を改善する10の方法を具体的に紹介していきます。
体の冷え対策
体が冷えると、血行が悪くなります。血行が悪くなるとホルモンをつくる作用も衰え、材料もなくなってしまいます。
体の冷えをなくすためには、末端と内臓を温めることです。足先を温めるようにして、お腹には腹巻を巻いて子宮への負担を少なくしましょう。
適度な運動
適度な運動は。血行を良くするために必要です。普段からデスクワークの多い人は、同じ姿勢でいることが多く、血液の循環が悪くなっています。
仕事の合間に、階段の上り下りをしたり、ウォーキングをしたりするなど、毎日できる軽い運動を心がけましょう。
ストレスをためない
ストレスがたまると、血管が収縮してしまい血流が悪くなります。さらにストレスに対抗するためのホルモンが過剰に分泌されるため、黄体ホルモンが分泌されるヒマもなくなってしまいます。
強いストレスがかかると、生理が止まってしまったり、不順になったりするのは、そのためです。
無理なダイエットはしない
ホルモンは、栄養分から作られるものです。無理なダイエットをして、栄養分が不足してしまうと、ホルモンの材料も少なくなってしまいます。
また、無理なダイエットはすなわち、ストレスそのものになってしまいます。
ビタミンEを摂取する
黄体機能不全を改善させるためには、血流の促進と生殖機能の向上が期待できるビタミンEの摂取が重要です。
普段の生活では、青魚、ナッツ類、小松菜やアボカド、ホウレンソウといった緑黄色野菜を積極的に食べるようにしましょう
サプリメントを利用する
黄体機能不全の原因は、栄養不足にもあります。とくにビタミンEやC場度積極的にとる必要がありますが、食事で摂取するのは大変です。
そこで便利なのがサプリメントです。サプリメントの中では、ビタミンE以外にも、「マカ」や「ザクロ」といった黄体ホルモンに働きかける成分も積極的に摂りましょう。
十分な睡眠
睡眠は、疲れを取るだけではありません。熟睡中にさまざまなホルモンを分泌していて、その中には成長ホルモンはもちろんのこと、黄体ホルモンも活発に分泌されています。
ところが、睡眠不足や質の良い睡眠をとっていないと、これらのホルモンの分泌が妨げられ、不足してしまいます。寝る時間、起きる時間を決めて、十分な睡眠時間を確保しましょう。
禁煙
たばこは、受動喫煙でもエストロゲンの減少や黄体ホルモンの分泌に影響をもたらすといわれています。
そのため妊婦さんは、できるだけ喫煙、受動喫煙を回避するように指導されます。喫煙は、妊娠・出産だけでなく、早めに閉経してしまうことも報告されています。
肥満に注意
肥満女性の多くは、代謝異常ですから、ホルモンのサイクルに異常をきたしています。そのため無排卵など排卵以上などを引き起こす可能性が高くなります。
極度なダイエットは、ホルモンバランスを崩してしまうので、1ヶ月に1~2㎏程度の減量を心がけましょう。
漢方治療を試みる
漢方の世界では、黄体機能不全の原因は「腎」の力が弱くなったと判断し、腎機能を活性化する処方を行います。
腎の機能が弱くなると卵胞がうまく育たなくなってしまい、子宮の冷えや血行不良になります。
漢方では子宮の冷えや血不足のため「鹿茸」「紫河車」「海馬」などの動物生薬を使った漢方が使われます。
また、漢方の場合は、副作用も無く、妊婦さんでも漢方治療ができる場合もあるため、安全性もあり効果的で手軽に実践できる方法といえますが、継続しなくては効果は望めないので、何事も継続できるという人にはおすすめの黄体機能不全の改善方法です。
黄体機能不全と間違いやすい3つの婦人病
黄体機能不全の症状は、婦人病に近いものがあります。たとえば出血は、黄体機能不全の症状によくあることですが、子宮がんを始めとするさまざまな婦人病に共通するので、自己判断せずに、不正出血があれば必ず婦人科で検査をすることが大切です。
それでは、ここからは、黄体機能不全と間違いやすい3つの婦人病を具体的に紹介していきます。
更年期
更年期というのは、何歳からと限定できないものです。ほとんどの場合50歳を過ぎてからになりますが、人によっては30代後半から40代前半ですでに更年期に入っている人もいます。
更年期になると、生理不順が起こります。いつもよりも早くなったり、遅くなったり、不正出血も多くなります。そのため、年齢によっては黄体機能不全と間違えやすくなります。
子宮内ポリープ
子宮の奥にできるポリープです。ほとんどが良性で心配することはありません。
しかし、経過観察を怠ってしまうと子宮体がんがポリープ状に発達することもあるので、しっかりと定期的な検査を行うことが大切です。
子宮筋腫
子宮筋腫は、筋腫が大きくなることで不正出血を起こすこともあります。さらに、筋腫が大きくなることで妊娠がしにくい環境になります。
筋腫がこすれて不正出血することもあるので、黄体機能不全に間違われることもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
女性の体の仕組みは、とても繊細です。黄体機能が何らかの原因で衰えることで、不妊や流産になってしまうのです。
ここまで当ページでは以下のように、黄体機能不全を改善する方法をご紹介してきました。
- 体の冷え対策
- 適度な運動
- ストレスをためない
- 無理なダイエットはしない
- ビタミンEを摂取する
- サプリメントを利用する
- 十分な睡眠
- 禁煙
- 肥満に注意
- 漢方で黄体機能改善
さらに、黄体機能不全と間違いやすい婦人病についても、以下のようにご紹介してきました。
- 更年期
- 子宮内ポリープ
- 子宮筋腫
もし、妊娠したくても、なかなか子宝に恵まれない場合、まず黄体ホルモンが正常に分泌されているのかどうか病院で調べてもらいましょう。
軽度の場合は生活習慣を見直すことで、いくらでも改善することができます。